【選手の素顔 #8】堂安律|フランクフルトで磨き上げた「勝たせる右ウインガー」でW杯へ
フランクフルト移籍初年で4G5A、直近は怪我明け復帰の堂安律の基本プロフィール、故郷尼崎、キャリア年表、代表での活躍、W杯2026で背負う期待と課題を整理するコラム。
ブンデスリーガ25/26シーズン、リーグ戦4ゴール5アシスト。8月30日のホッフェンハイム戦では移籍後初先発にして2ゴール1アシストの衝撃デビュー、3月22日のマインツ戦では決勝点、そして4月18日のRBライプツィヒ戦では怪我明けの復帰スキャッド入りを果たした。フランクフルトの堂安律(どうあん りつ)は、いまや日本代表の右サイドの絶対的な軸だ。W杯2026本大会を約2か月後に控えた今、彼が背負う期待と、乗り越えるべき課題を整理する。
menu_book 基本プロフィール

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1998年6月16日(27歳) |
| 出身地 | 兵庫県尼崎市 |
| 身長/体重 | 172cm/71kg |
| ポジション | 右ウインガー/OMF |
| 利き足 | 左足 |
| 所属クラブ | アイントラハト・フランクフルト(ブンデスリーガ) |
| 背番号 | 20 |
| 日本代表の経験 | A代表:2018年デビュー、通算60試合超・9得点、カタールW杯出場 |
arrow_forward 故郷を知る
兵庫県尼崎市生まれ。幼少期は西宮サッカースクールや地元チームでボールを蹴り、ガンバ大阪ジュニアユース(門真)へと進んだ。関西サッカー界の激戦区に揉まれながら育ち、宮本恒靖や稲本潤一ら先輩と同じクラブアカデミーのキャリアを辿ったのは、関西サッカー少年にとっての王道である。
尼崎という土地柄は「負けん気」と「しゃべれば笑わせられる」下町性の両方を備えており、堂安の「振り切れる決断力」と「取材の受け答えの上手さ」はそのままこの街の空気を映しているとも言われる。W杯本大会の活躍は、関西サッカー少年全員の誇りに直結する。
calendar_month 年代別キャリア年表
| 年齢 | 時期 | 所属/主な出来事 |
|---|---|---|
| 6~9歳 | 2004~2007 | 西宮サッカースクール ほか地元少年団 |
| 10~12歳 | 2008~2010 | ガンバ大阪ジュニアユース |
| 13~15歳 | 2011~2013 | ガンバ大阪ジュニアユース(門真) |
| 16~18歳 | 2014~2016 | ガンバ大阪ユース |
| 18歳 | 2016~2017 | ガンバ大阪トップチーム昇格 |
| 19~21歳 | 2017~2019 | フローニンヘン(オランダ・エールディヴィジ) |
| 21~22歳 | 2019~2020 | PSVアイントホーフェン |
| 22歳 | 2020~2021 | ビーレフェルト(レンタル、ブンデスリーガ1部) |
| 23~27歳 | 2022~2025 | フライブルク(初のリーグ2桁到達) |
| 24歳 | 2022 | カタールW杯出場(ドイツ・スペイン戦連続ゴール) |
| 27歳 | 2025~2026 | アイントラハト・フランクフルト移籍、W杯2026へ |
local_fire_department 25/26シーズン、移籍初年で確立した「勝たせる右ウインガー」
2025年8月、フライブルクから2030年までの長期契約でフランクフルトへ移籍。適応に時間を要すると見られたが、移籍後初の先発となった開幕第2節ホッフェンハイム戦ではいきなり2ゴール1アシストを記録。ドイツのサッカー雑誌『キッカー』で最高評価の1を獲得し、週間ベストイレブンにも選出された。
以降もほぼ先発フル出場を維持し、リーグでは4G5A、カップ戦・欧州カップ戦を含む公式戦では6G5A。3月22日のマインツ戦で決勝点、4月6日のケルン戦2-2では先制点の起点となるリターンパスで事実上のアシストも記録している。
| 項目 | 22/23(フライブルク) | 23/24(フライブルク) | 24/25(フライブルク) | 25/26(フランクフルト, 第30節時点) |
|---|---|---|---|---|
| リーグ戦得点 | 5 | 9 | 10 | 4 |
| 出場試合 | 31 | 30 | 32 | 28 |
| 得点/試合 | 0.16 | 0.30 | 0.31 | 0.14 |
数字が物語るのは、「コンスタントに数字を残す右WG」への進化だ。4シーズン連続でリーグごとにゴール・アシストを積み上げており、欧州トップリーグでの継続性は日本人右WGとして歴代最高クラスと言っていい。
sports_soccer 代表での活躍 ― カタールW杯ドイツ戦・スペイン戦の記憶
2022年カタールW杯、ドイツ戦とスペイン戦で決めた連続ゴールは日本サッカー史に刻まれた。A代表通算60試合を超える出場数を誇り、9得点。森保ジャパンにおいては「勝負どころでゴールに絡む右WG」として先発の座を固めており、W杯アジア最終予選でも複数の決勝点・アシストを記録している。三苫の左と堂安の右、これが森保ジャパンの攻撃を象徴する両翼である。
star 堂安律を一言で表すと ― 「左足」と「勝負根性」の同居
堂安のプレーを分析するうえで、欠かせないキーワードが2つある。
| キーワード | プレー上の現れ方 |
|---|---|
| 左足 | ペナルティエリア手前からのカーブシュートがトレードマーク/グラウンダーのラストパスの質/ミドルレンジも射程内という球種の多彩さ |
| 勝負根性 | ビッグマッチで「そこで振り切れるか」の場面で迷わない決断力/カタールでのドイツ戦・スペイン戦の連続弾/マインツ戦での決勝点はその象徴 |
技術と気持ちの両輪を高いレベルで併せ持つ選手は、代表チームにおいて最も重宝される存在だ。「勝負所で決め切れる右WG」、これが25/26の堂安を語る最短のキーワードとなる。
favorite W杯2026で背負う期待 ― 日本のグループFを突破する鍵
日本が入ったW杯2026グループFは、オランダ・スウェーデン・チュニジア。3戦とも堂安の役割は「仕掛け役兼フィニッシャー」。三苫が左で1対1を制して時間を作るなら、堂安は右で最後に縦を刺す役回りだ。
| 対戦相手 | 守備陣の特徴 | 堂安に期待される役割 |
|---|---|---|
| オランダ | 攻撃的な左SB+中央を締めるハイライン | 半内側からのカーブシュート+背後への斜め走 |
| スウェーデン | 長身CBと空中戦に優位な相手 | 地上でのコンビ連携+ミドルでの射程拡大 |
| チュニジア | 堅実なブロック+速いカウンター | 崩すラストパス+強引なミドルで守備陣を動かす |
いずれの試合も左足の精度が勝負を決める最終局面に直結する。1試合で1本の「振り切り」を堂安が作れるかどうか、それがグループ突破の生命線だ。
live_tv SNS・メディア発信
堂安のSNS発信は「表裏のないオープン・スタイル」。Instagram(@doanritsu open_in_new)では試合後の本音コメントに加え、家族・兄弟のエピソードや関西弁での軽妙なトークも披露。X(@doan_ritsu open_in_new)では時に意見を率直に発信し、ファンからの距離感の近さで知られている。
メディア対応も巧みで、「勝てばしっかりと勝因を分析し、負ければ隠さず悔しさを言葉にする」スタンスは、大舞台のインタビューでも変わらない。ドイツ戦・スペイン戦後の「もっとできた」という発言は象徴的で、華やかな発信の裏に常に次戦への目が向いている。W杯イヤーに向けての独自コンテンツ出演(YouTube・Abema等)も増加傾向だ。
info 乗り越えるべき課題は「連戦と怪我明けの調整」
最大の懸念は、直近の怪我明けから本大会までにどこまでフルコンディションに戻せるかだ。フランクフルトはリーグ戦に加え欧州カップも並行して戦う過密日程を抱えており、5月下旬のシーズン終了後に与えられる休養期間は限定的となる。
加えて、代表ウィーク2回を挟む中で、クラブとの交渉を含めて最も堂安のピークをW杯開幕に合わせる調整技術が森保監督とJFAのスタッフに問われる。