コラム2026-04-28

【選手の素顔 #14】遠藤航|横浜の遅咲きDMがプレミア王者リヴァプールへ——日本代表キャプテンが迎える「もう一つのW杯」

日本代表キャプテン・遠藤航。湘南ベルマーレと浦和レッズを経てシントトロイデン・シュツットガルトと進み、2023年にリヴァプールへ移籍、プレミアリーグ優勝も経験した遅咲きのダイナモ。本紙予想ではメンバー落選と見るも、ドーハ以来の中盤の豊かさを作ったキャプテンの軌跡と素顔を整理した「選手の素顔」シリーズ第14弾。

#W杯

2026年6月11日に開幕する北中米ワールドカップまで残り約2か月。遠藤航(えんどう わたる)はリヴァプールでプレミアリーグ優勝メダルを手にした初の日本人キャプテンとして、A代表では通算72試合4得点。2023年6月に吉田麻也から日本代表のキャプテンを引き継いだ遠藤だが、本紙予想では5月15日のW杯メンバー発表で落選を見込むという状況もある。それでも司令塔として作り上げてきた中盤の規律と、遅咲きのキャリアを素顔から振り返る。


menu_book 基本プロフィール

遠藤航(日本代表・リヴァプール)
遠藤航(日本代表・リヴァプール)

項目内容
生年月日1993年2月9日(33歳)
出身地神奈川県横浜市
身長/体重178cm/77kg
ポジション守備的MF(アンカー)/CB
利き足右足
所属クラブリヴァプールFC(イングランド・プレミアリーグ)
背番号3
日本代表の経験2015年A代表デビュー、通算72試合4得点。カタールW杯全3試合先発、2023年6月にキャプテン就任

arrow_forward 故郷を知る

遠藤が生まれ育ったのは、横浜の南西部に位置する横浜市戸塚区。幼少期から横浜F・マリノスのサポーターとして日産スタジアムに通い、地元の南戸塚SCでボールを蹴り始めた。中学時代は横浜F・マリノスジュニアユースのセレクションに落ちた経験もあるが、神奈川県立金井高校進学と同時に湘南ベルマーレユースへ加入し、高校3年生でトップチームに昇格した。

横浜という街は、横浜F・マリノスを頂点に市民クラブや少年団が重層的に存在する、「サッカーの選択肢が街角ごとにある街」だ。その中でエリート街道を歩まず、地道にJ1から欧州の頂点まで上り詰めた「市井のキャプテン」こそが遠藤航である。リヴァプールが2024年夏のプレシーズンマッチで横浜F・マリノスと日産スタジアムで対戦した際、遠藤が赤いキャプテンマークを巻いて生まれ故郷の地に立ったという事実は、本人のキャリアを象徴する一場面となった。


calendar_month 年代別キャリア年表

年齢時期所属/主な出来事
6〜11歳1999〜2004南戸塚SC
12〜14歳2005〜2007横浜市立南戸塚中学校、F・マリノスジュニアユースのセレクションに落選
15〜17歳2008〜2010神奈川県立金井高校在学、湘南ベルマーレユース
17〜22歳2010〜2015湘南ベルマーレ(158試合23得点)、J2・J1を経験
22歳2015日本A代表初招集、EAFF東アジアカップvs北朝鮮戦でデビュー
23〜25歳2016〜2018浦和レッズ(73試合5得点)、ACL優勝に貢献
25〜27歳2018〜2020シントトロイデンを経てシュツットガルトへレンタル、ブンデスリーガ昇格に貢献
27〜30歳2020〜2023シュツットガルト正規移籍、ブンデスリーガのデュエル勝利数で2年連続1位、2021/22シーズンにチームキャプテン
29歳2022カタールW杯で全3試合先発、ドイツ・スペイン撃破に貢献
30歳2023年6月日本代表キャプテンを吉田麻也から引き継ぐ
30歳2023年8月リヴァプールFCへ移籍(4年契約・移籍金約1600万ポンド)
31歳2024EFLカップ全3試合に出場、決勝でチェルシーを破りリヴァプールに優勝をもたらす
32歳2024/25リヴァプールでプレミアリーグ優勝、香川・岡崎・南野に続く4人目の日本人優勝者となる
33歳2025/26リヴァプールではローテーションメンバー、代表ではW杯メンバー発表を控える

local_fire_department 25/26シーズン、リヴァプールで定着した「ローテーションの中軸」

遠藤にとって2025/26シーズンは、前年度のプレミアリーグ優勝を踏まえてリヴァプールの中盤ローテーションを支える位置づけに落ち着いた。リーグ戦の出場機会は試合・状況によって限られるものの、EFLカップやリーグカップを中心に「ポジションを丁寧に埋める」仕事を誰よりも丁寧にこなしている。

シーズンリーグ戦出場チーム成績主なトピック
2023/2419試合プレミアリーグ3位EFLカップ初優勝に貢献
2024/2520試合プレミアリーグ優勝日本人4人目のプレミア優勝者
2025/26ローテーション上位争い中チーム中軸の人格的リーダー

クラブでの位置づけは中盤の薄さを埋める「ジョーカー型のアンカー」としての価値が高い。代表でも同じ哲学をチーム全体に与えた遠藤だが、佐野海舟、守田英正、田中碧という若いダイナモ型の台頭によって、本紙は席争いでの離脱を読んでいる。


sports_soccer 代表での活躍 ― ドーハで築いた「静かな中軸」

遠藤は2015年8月に日本A代表デビューし、ロシアW杯ではバックアップとしてメンバー入り、カタールW杯2022では全3試合で先発出場を果たした。とりわけドイツ戦・スペイン戦では中盤のオールコートとしてボールを綺麗にコントロールし、侍ジャパンのグループ首位突破を下支えした。

2023年6月にキャプテンを吉田麻也から引き継ぎ、アジア最終予選で7勝2分1敗・勝ち点23の独走首位通過に貢献。コーナーキックからのヘディングでゴールを重ねるなど、「静かなリーダー」というイメージを覆すセットプレーでの仕事も全うした。


star 遠藤航を一言で表すと ―「デュエル」と「リーダーシップ」の同居

遠藤を語る上で欠かせないキーワードが2つある。

キーワードプレー上の現れ方
デュエルシュツットガルト時代にブンデスリーガのデュエル勝利数で2年連続1位/身長178cmながら重心の低さとボディバランスでボールを保持/リヴァプールでも「ルーズボールを拾う」件数はチームトップクラス
リーダーシップシュツットガルト・代表でキャプテンを務める人間性/欧州初挑戦の佐野海舟や若手の高井幸大をケア/試合中も試合外も同一人物という評価

語りで勝負しない」タイプだが、リヴァプールのファンやチームメイトからは「縁の下のキャプテン」として愛され、どんな試合でもコンディションを崩さずピッチに走り、離脱を避けてきた鉄人としてリスペクトされている。


favorite W杯2026への期待 ― 「キャプテンが残した遺産」はグループFでも生きる

本紙予想では5月15日のW杯メンバー発表で遠藤は落選と見ているが、キャプテンとしてグループFで代表チームに与えてきたデュエルの哲学と中盤の規律は、佐野・守田・田中らの後輩たちにしっかりと受け継がれている。

対戦相手遠藤が代表に残したエッセンスグループFで生きる場面
オランダ中盤でボールを綺麗に保持し縦へ供給する哲学デ・ヨングに対抗する佐野・守田・田中のトリオに反映
スウェーデンコーナーキックを得点源にするヘディングコーチングセットプレーディフェンダーとしての守備設計も後進に残る
チュニジアデュエルでフィジカルでも上回る心持ち佐野・守田のダブルボランチで適用される

本人がロッカールームでチームメイトを見守るか、どこかのスタンドから代表の戦いを見つめるか。いずれにせよ、遠藤航が代表に残した哲学は代表スタッフと同世代・下の世代に受け継がれている


live_tv SNS・メディア発信

遠藤は記者会見でひとつひとつの質問に誠実に答える「キャプテン話法」を身につけた選手だ。派手ではなく、論理的で他者の立場を汲む言葉選びをし、スポンサーやクラブチームとの関係を丁寧に結ぶ。

SNSもチームメイトやサポーターへの感謝を中心とした「丁寧型」。Instagram @endowataru open_in_new や X @wataru0209 open_in_new では試合後の振り返りとチームメイトへのシャウトアウトを速いテンポで投稿し、公式サイト wataruendo.com open_in_new とAmebaブログ「シンクロナス|月刊WATARU ENDO」では年代ごとのキャリアの振り返りも公開している。スター選手としてのセルフブランディングよりも、職人としての継続性を誠実に伝える姿勢が彼のメディアスタイルだ。


info 乗り越えるべき課題は「世代交代とともにある」

33歳という年齢は、守備的MFとしては頂点期を迎えたとも言える。リヴァプールでのローテーション起用も含め、スタミナ争いが厳しくなっているのは事実だ。代表でも佐野海舟や守田英正、田中碧というダイナモ型の台頭により、本紙は5月15日のメンバー発表で遠藤はボーダーラインから外れると見ている。

だが「背番号3」を付けたキャプテンが作った代表チームの豊かさは、どのケースでも残る。W杯本大会メンバーとしてピッチに立つか、サポーターとして代表を見送るか——いずれにしても遠藤航という選手が日本サッカーに残した足跡は、「招集されるか否か」とは独立に価値を持ち続けるだろう。

出典・情報元

最終更新: 2026-04-28

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