【選手の素顔 #17】伊東純也|街クラブ叩き上げの33歳、ジョーカーで証明する右サイドの絶対性
KRCヘンクで右サイドの絶対性を背負う伊東純也(33歳・神奈川県横須賀市出身)の素顔を深掘り。街クラブ→公立高校→神奈川大→柏レイソル→ヘンク→ランス→ヘンク復帰の叩き上げ、W杯予選アシスト王、「そして3月29日スコットランド戦決勝弾」までを整理。
伊東純也(いとう じゅんや)、33歳。2025年8月にKRCヘンクへ叩年ぶりの復帰を果たし、25/26シーズンはリーグ戦18試合4ゴール2アシスト。2026年3月29日のキリンワールドチャレンジ・スコットランド戦では後半途中出場から84分に決勝弾、同31日のイングランド戦も先発でアウェー連勝に貢献した。W杯2026本大会を約2か月後に控えた今、彼が背負う期待と、乗り越えるべき課題を整理する。
menu_book 基本プロフィール

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1993年3月9日(33歳) |
| 出身地 | 神奈川県横須賀市 |
| 身長/体重 | 176cm/66kg |
| ポジション | FW/MF(右ウイング/右ウイングバック) |
| 利き足 | 右足 |
| 所属クラブ | KRCヘンク(ジュピラ・プロ・リーグ/ベルギー) |
| 背番号 | クラブ:10/代表:14 |
| 日本代表の経験 | A代表2017年デビュー、通算68試合15得点。2022カタールW杯ベスト16、AFCアジアカップ2019準優勝・2023、W杯2026最終予選アシスト王 |
arrow_forward 故郷を知る
神奈川県横須賀市は三浦半島中央に位置する人口約38万人の港町。米海軍基地を擁し国際色豊かな一方、丘陵と入り組んだ海岸線が独特の地形をつくる土地柄である。横浜F・マリノス/横浜FCのお膍元・横浜市の南に隣接し、ジュニア年代のクラブ網が密に張り巡らされた育成激戦区だ。
伊東が幼少期を過ごした鴨居地区は横須賀港北東のエリアで、地元クラブ「鴨居SC」で1999年から2004年までボールを蹴った。中学進学時に横浜F・マリノスJYのテストに落ちた苦い経験を、地元の「横須賀シーガルズJY」で取り返した。エリート街道とは無縁な「街クラブ→公立校→大学」の叩き上げルートは、横須賀的な地に足のついた風土と分かちがたい。アップダウンの多い地形で鍍えられた脚力は、現在の50m5秒8の爆発的スピードの土台となっている。W杯本大会の活躍は、横須賀という街の誇りとなる。
calendar_month 年代別キャリア年表
| 年齢 | 時期 | 所属/主な出来事 |
|---|---|---|
| 6〜9歳 | 1999–2002 | 横須賀市立小原台小学校/鴨居SC でサッカー開始 |
| 10〜12歳 | 2002–2004 | 鴨居SCで中心選手に。6年時に横浜F・マリノスJYのテストに不合格 |
| 13〜15歳 | 2005–2007 | 横須賀シーガルズJY。選抜歴ゼロの無名時代 |
| 16〜18歳 | 2008–2010 | 神奈川県立逗葉高校。家庭の方針で公立進学、全国大会経験なし |
| 19〜22歳 | 2011–2014 | 神奈川大学。関東大学リーグで才能開花、4年時に甲府の特別指定選手 |
| 22〜25歳 | 2015–2018 | ヴァンフォーレ甲府→柏レイソル。柏で通算101試合19得点 |
| 25〜29歳 | 2019–2022夏 | KRCヘンク。2019シーズンにベルギーリーグ優勝に貢献、通算78試合19得点 |
| 29〜32歳 | 2022夏–2025夏 | スタッド・ランス(フランス)。99試合13得点、最終予選アシスト王 |
| 32歳〜 | 2025/8〜現在 | KRCヘンクへ復帰(背番号10、3年契約) |
local_fire_department 25/26シーズン、6年ぶりのヘンクでジョーカー起用に適応
2025年8月、伊東は6年ぶりにKRCヘンクへ復帰を果たした。3年契約でクラブを支える背番号10。25/26シーズンはリーグ戦18試合で4ゴール2アシスト、CL予選レフ・ポズナニ戦では復帰初ゴールを記録した。
10月のブラジル代表戦で右ハムストリングを負傷し約2.5か月離脱したが、12月26日のクルブ・ブルッジェ戦で実戦復帰、後半72分投入のわずか4分後にゴールを決めるという劇的な復帰戦で存在感を示した。
| シーズン | 所属 | 出場 | 得点 | アシスト |
|---|---|---|---|---|
| 22/23 | スタッド・ランス | 34 | 6 | 6 |
| 23/24 | スタッド・ランス | 32 | 3 | 4 |
| 24/25 | スタッド・ランス | 33 | 4 | 5 |
| 25/26 | KRCヘンク | 18 | 4 | 2 |
直近のハイライトは2026年3月のキリンワールドチャレンジ・スコットランド戦。0-0で迎えた78分、森保監督が超攻撃的システム変更で投入した伊東は、84分に三笆薫→鈴木淳之介→塩貝健人と繋がったボールを冷静に押し込み決勝点。アウェーでW杯出場国を撃破するW杯イヤー初戦勝利の立役者となった。
sports_soccer 代表での活躍 ― 右サイドの切り札、最終予選アシスト王
伊東の代表デビューは2017年。2022カタールW杯ではグループE全試合に出場し、スペイン戦の前線プレスから堂安律の同点ゴールをアシストするなど、ドイツ・スペイン撃破でのベスト16進出に貢献した。
2024年に女性問題で代表活動から離脱したが、同年8月の不起訴処分を経て9月のW杯アジア最終予選で代表復帰。最終予選では10アシストでアシスト王に輝き、予選突破に決定的な役割を果たした。2026年3月の欧州遠征2連戦ではスコットランド戦決勝弾、イングランド戦先発と、W杯前の重要な強化試合で攻守に貢献。森保ジャパンの右サイドにおける切り札として位置づけられている。
star 伊東純也を一言で表すと ― 「世界水準のスピード」と「右サイドの絶対性」の同居
伊東を理解するうえで欠かせないキーワードが2つある。
| キーワード | プレー上の現れ方 |
|---|---|
| 世界水準のスピードキング | 50m5秒8の爆発的加速/大きく蹴り出してから追いつくドリブル/緩急のあるアクセル操作 |
| 右サイドの絶対性/クロスの精度 | DFを抜く前のクロス判断/グラウンダーと速いボールの正確な配給/アジア最終予選アシスト王の継続性 |
両立の意義は明確だ——スピードで突破するだけでなく、抜く前に味方へボールを届ける選択肢が伊東には常にある。これこそ、彼が世界の右サイドで通用する根拠である。
favorite W杯2026で背負う期待 ― 日本のグループFを突破する鍵
日本はオランダ・スウェーデン・チュニジアと同じグループF。伊東には右サイドでジョーカー起用、もしくは完投でスピードとクロスで差をつける役割が期待される。
| 対戦相手 | 左サイド守備の特徴 | 伊東に期待される役割 |
|---|---|---|
| オランダ | 左SB候補ファン・デ・フェン(トッテナム)は本職CB、左起用時はスピード勝負で揺さぶれる | 縦の駆け引きと爆発的加速で左SBを置き去りに |
| スウェーデン | 北欧らしい堅守速攻型、左サイドは中央に絞る守備 | 縦突破とアーリークロスで横に揺さぶる役割 |
| チュニジア | 組織的なブロック守備、中盤を厚くする | カウンターからのクロス供給、低い位置からの裏狙いランで局面打開 |
live_tv SNS・メディア発信
伊東の発信スタイルは寡黙でクール。Instagramの@1409junya open_in_new(フォロワー約67万人)はクラブ・代表でのオン/オフを淡々と更新。X(旧Twitter)の@ItouJky open_in_newも継続している。
メディア対応の特徴は短く本質を突く発言。「強い相手の方が特長を出せる」など試合後コメントは率直で、自己分析が明快なタイプだ。柏レイソル時代から所属クラブの公式インタビューにも応じる、しっかりとしたプロ意識をうかがわせる。
info 乗り越えるべき課題は「年齢とコンディション維持」
年齢とコンディション維持——伊東の最大の課題はこの2点に集約される。W杯本大会時は33歳、爆発的スピードを武器とするタイプにとって体力的なピーク維持は決定的に重要だ。
2025年10月のブラジル戦でハムストリングを負傷し約2.5か月離脱した経緯もあり、ハム系は再発リスクの高い部位だ。森保監督は「強い相手用のジョーカー」として後半投入の起用増を選択している(スコットランド戦も後半途中出場で決勝弾)。代表の右サイドには堂安律・久保建英・菅原由勢ら候補が複数おり、本大会でいかに短時間で違いを作る役割を果たすかが、彼に課された最後のミッションとなる。
最終更新: 2026-04-30