【選手の素顔 #16】守田英正|中体連からCLベスト8へ、論理派ボランチが背負う日本の中盤
スポルティングCPで中盤の心臓を担う守田英正(30歳・大阪府高槻市出身)の素顔を深掘り。中体連→流通経済大→川崎フロンターレ→欧州主要クラブへと駆け上がった論理派ボランチが、W杯2026グループFで背負う期待と課題を整理。
守田英正(もりた ひでまさ)、30歳。スポルティングCPで中盤の心臓を担い、25/26シーズンはリーグ戦24試合1得点3アシスト、CL11試合フル出場でクラブのCLベスト8入りに貢献。直近のリスボンダービー(4/20)で今季リーグ戦初ゴール、クラブ通算150試合到達という節目のシーズンとなった。W杯2026本大会を約2か月後に控えた今、彼が背負う期待と、乗り越えるべき課題を整理する。
menu_book 基本プロフィール

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1995年5月10日(30歳) |
| 出身地 | 大阪府高槻市 |
| 身長/体重 | 177cm/75kg |
| ポジション | MF(守備的MF/インサイドハーフ) |
| 利き足 | 右足 |
| 所属クラブ | スポルティングCP(プリメイラ・リーガ/ポルトガル) |
| 背番号 | クラブ:5/代表:6 |
| 日本代表の経験 | A代表2018年デビュー、通算40試合6得点。2022カタールW杯ベスト16、AFCアジアカップ2023、W杯2026最終予選 |
arrow_forward 故郷を知る
大阪府高槻市は京都と大阪の中間に位置する人口約34万人のベッドタウン。市民スポーツとしてサッカーが地域に根付き、高槻市サッカー連盟・U-12委員会が少年サッカーを統括する組織だった土地柄である。守田を育てた高槻清水FCをはじめ、FCファルコン、FC OWLSなど多数の少年団が共存し、姉妹都市オーストラリア・トゥーンバとの少年サッカー国際交流も実施されてきた、知性とフィジカル両面を伸ばす育成風土だ。
特筆すべきはJクラブのジュニアユースに頼らず、中体連(公立中の部活)から這い上がるルートが機能している点。守田自身、高槻市立第九中学校サッカー部から金光大阪高校へ進学し、流通経済大学を経てJ1のトップへ駆け上がった「非エリート」たたき上げである。論理的思考と泥臭さを併せ持つ彼の原型は、まさにこの地域文化が育てたといえる。W杯本大会の活躍は、高槻という街の誇りとなる。
calendar_month 年代別キャリア年表
| 年齢 | 時期 | 所属/主な出来事 |
|---|---|---|
| 6〜9歳 | 〜2004 | 兄の影響で就学前にサッカー開始、高槻清水FC に所属 |
| 10〜12歳 | 〜2007 | 高槻清水FCで地域少年団の中心としてプレー |
| 13〜15歳 | 2008–2010 | 高槻市立第九中学校サッカー部(中体連)。Jクラブのジュニアユースには進まず |
| 16〜18歳 | 2011–2013 | 金光大阪高校。3年時にチームの中心選手に |
| 19〜22歳 | 2014–2017 | 流通経済大学。3年時デンソーカップMVPでチーム優勝、4年時インカレ優勝&大会MVP |
| 23〜25歳 | 2018–2020 | 川崎フロンターレ。J1優勝2回、ルヴァン杯・天皇杯制覇、ベストイレブン受賞、A代表デビュー |
| 25〜27歳 | 2021–2022夏 | CDサンタ・クララ(ポルトガル)。海外初挑戦 |
| 27歳〜 | 2022/7〜現在 | スポルティングCP。リーグ2連覇+CLベスト8、クラブ通算150試合到達 |
local_fire_department 25/26シーズン、リスボンの司令塔として円熟期へ
スポルティングCPでの守田は完全にチームの中盤の心臓。25/26シーズンはリーグ戦24試合で1得点3アシストを記録し、4月20日のリスボンダービー(vs.ベンフィカ)で今季リーグ戦初ゴールを決めた。CLでも11試合468分出場、4月のアーセナル戦準々決勝1stレグでもフル出場で攻守に奮闘した。
直近のハイライトは古巣サンタ・クララ戦(4月4日)での2試合連続アシスト。「柔らかいタッチの技ありパス」と地元紙にも評されるなど、攻撃面での貢献度が確実に上昇している。
| シーズン | リーグ戦得点 | 出場試合 | 得点/試合 |
|---|---|---|---|
| 22/23 | 0 | 18 | 0.00 |
| 23/24 | 1 | 27 | 0.04 |
| 24/25 | 2 | 27 | 0.07 |
| 25/26 | 1 | 24 | 0.04 |
シーズン後半に入って得点関与の質が変化している。「数字に少しこだわり始めた」と本人が語る通り、奪取と配球の黒子から、ゴール前で違いを作るボランチへ進化中だ。
sports_soccer 代表での活躍 ― W杯ベスト8突破の中盤の支柱
守田の代表デビューは2018年9月11日 vs.コスタリカ戦。以来通算40試合6得点を記録し、2022カタールW杯ではドイツ戦の負傷欠場を経て、死の組1位通過を決めたスペイン戦で田中碧と組むダブルボランチでスタメンを務めた。
W杯2026アジア最終予選では中東アウェー2連戦で2ゴール1アシストを記録、サウジ戦でMOM選出。「いつでも代表のピッチに入れる」「戦術理解度が極めて高い」(森保監督)と評され、森保ジャパンの中盤の支柱という位置づけは既定事項だ。
star 守田英正を一言で表すと ― 「インテリジェンス」と「ずる賢さ」の同居
守田を理解するうえで欠かせないキーワードが2つある。
| キーワード | プレー上の現れ方 |
|---|---|
| インテリジェンス(知性) | 戦術理解度の高さ/思考型ボランチ/状況に応じた修正力 |
| ずる賢さ × 献身 | 危険察知に基づくボール奪取/黒子としての配球/勝者のメンタリティ |
両立の難しい「思考量の多さ」と「ファウルにならないアグレッシブな奪取」を同時に成立させる点こそ、守田が世界トップクラスの中盤と渡り合える根拠だ。著書『「ずる賢さ」という技術 日本人に足りないメンタリティ』(幻冬舎)にもある通り、彼は日本人の論理派サッカー選手の最先端をいく存在である。
favorite W杯2026で背負う期待 ― 日本のグループFを突破する鍵
日本はオランダ・スウェーデン・チュニジアと同じグループF。守田には中盤での先読みと素早い縦パスでカウンターの起点になる役割が期待される。
| 対戦相手 | 中盤の特徴 | 守田に期待される役割 |
|---|---|---|
| オランダ | ガクポら個の1対1依存で攻撃が単調化、ボランチが引きすぎる傾向 | 単調な攻めを中盤で先回りして摘み、奪取後に素早い縦パスでカウンター起点に |
| スウェーデン | フィジカル重視、長身・パワー型ミッドフィールダー | フィジカル劣勢を補う「先読み」と「位置取り」、CB前のフィルター役 |
| チュニジア | アフリカ屈指の組織的守備、技術より組織と速攻 | 堅守相手にビルドアップの精度と縦パスの質で崩しの起点となる司令塔タスク |
live_tv SNS・メディア発信
守田の発信スタイルは論理派・言語化型である。Instagramの@mrt_510 open_in_new(フォロワー約21.8万人)はクラブ・代表でのオン/オフを淡々と更新。X(旧Twitter)の@mrt_510 open_in_new(約10.6万人)も2015年から継続している。本人公式アカウントはbioに@sportingcpと@japanfootballassociationが記載されており、なりすましではない。
メディア対応の特色はチームの状況・サッカー観を最も明確に言葉で説明できる選手として知られる点。アジアカップ2023敗退後の率直な発言で論客としての地位を確立し、自著『「ずる賢さ」という技術 日本人に足りないメンタリティ』(幻冬舎)を上梓。「聞いてるフリして聞き流してもいい」など独自の学び論も発信する、理論派の代表格だ。
info 乗り越えるべき課題は「過密日程とコンディション維持」
過密日程とコンディション維持——守田の最大の課題はこの2点に集約される。CLベスト8進出に伴うクラブの過密日程と、6月W杯までのキリンチャレンジカップ・現地合宿という代表日程の二重負荷は避けられない。
24/25シーズンに左ふくらはぎ負傷で約1ヶ月離脱した経緯もあり、31歳で迎える本大会前のコンディション管理は最優先課題。森保監督・JFAの招集判断とスポルティングCPの起用バランスが問われる5月の壮行試合期間が試金石となる。