【選手の素顔 #21】冨安健洋|満身創痍のマルチDF、アヤックスでの復活劇からグループFへ
アーセナルを離れ、アヤックス・アムステルダムで復活を試みる冨安健洋(27歳・福岡県福岡市出身)の素顔を深掘り。CB/右SB/左SBを高水準でこなすマルチDFは、肩・膝・ハムと離脱を繰り返した3年を越えてW杯グループFに間に合うか。
冨安健洋(とみやす たけひろ)、27歳。2025年7月にアーセナルとの契約を相互合意で解除し、半年間の無所属期間を経て、12月16日にアヤックス・アムステルダム(背番号32)と半年契約。背中を取り戻すべと3月14日のスパルタ戦で約664日ぶりのクラブ公式戦先発を果たしたが、3月末にハムストリングの軽傷で4月のイングランド遠征を辞退。W杯2026本大会を約2か月後に控えた今、彼が背負う期待と、乗り越えるべき課題を整理する。
menu_book 基本プロフィール

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1998年11月5日(27歳) |
| 出身地 | 福岡県福岡市博多区 |
| 身長/体重 | 188cm/84kg |
| ポジション | DF(CB/右SB/左SB、守備的MFも対応するマルチDF) |
| 利き足 | 右足(両足を高水準で使えるtwo-footed) |
| 所属クラブ | アヤックス・アムステルダム(エールディヴィジ/蘭) |
| 背番号 | クラブ:32/代表:16 |
| 日本代表の経験 | A代表2018年デビュー、通算42試合1得点。2022カタールW杯でドイツ・スペイン撃破に貢献 |
arrow_forward 故郷を知る
福岡県福岡市はアビスパ福岡を中心に育成基盤が厚く、サニックス杯ユースサッカー大会など九州独自の国際カップ戦が根付くサッカー集積地だ。冨安が小学生時代に通った「バルセロナスクール福岡校」(2009年開校)はFCバルセロナのメソッドを直輸入する数少ない国内拠点で、中盤のテクニックを磨く土壌を提供した。
一方アビスパ福岡U-15/U-18は古くから「先に守備を仕込む」方針で知られ、対人の強度と読みを徹底的に叩き込む。冨安はジュニアユース3学年すべてでキャプテンを担い、リーダーシップと球際の質を同時に獲得した。海と山に挟まれた博多の街は屋外運動の選択肢が多く、年間を通じて練習可能な気候も技術派DFを育てた背景にある。W杯本大会の活躍は、福岡という街の誇りとなる。
calendar_month 年代別キャリア年表
| 年齢 | 時期 | 所属/主な出来事 |
|---|---|---|
| 小学生 | 〜2010 | 三筑キッカーズ→バルセロナスクール福岡校。11歳で全国ナショナルトレセン選出 |
| 13〜15歳 | 2011–2013 | アビスパ福岡U-15。中学3年間すべてでキャプテン |
| 16〜17歳 | 2014–2015 | アビスパ福岡U-18 |
| 17歳 | 2015年5月〜 | トップチーム2種登録。10月に公式戦デビュー |
| 17〜19歳 | 2016–2017 | アビスパ福岡(J2)。クラブ史上初の高校生Jリーガー |
| 19歳 | 2018年1月〜 | シント・トロイデンVV(ベルギー1部) |
| 20歳 | 2019年7月〜 | ボローニャFC(セリエA)。右SB起用で評価上昇 |
| 22〜26歳 | 2021年8月〜2025年7月 | アーセナルFC(プレミアリーグ)。公式戨84試合2得点 |
| 26〜27歳 | 2025年7月12月 | 無所属(リハビリ専念) |
| 27歳〜 | 2025年12月16日〜現在 | アヤックス・アムステルダム(2026年6月6ヶ月契約、背番号32) |
local_fire_department 25/26シーズン、約664日ぶりの公式戦先発を4月に果たした
2025年12月にアヤックスと半年契約。1月2日にチーム合流し、2月1日エクセルシオー扢26で484日ぶりの公式戦復帰を果たした。そして3月14日スパルタ・ロッテルダム戦で約664日ぶりの公式戦先発を果たした。69分までプレーし、32分には相手DF2枚に囲まれながらドリブル突破→クロスでベルハイスのゴールを演出。Sofascore計測で地上戆5回中3勝、空中戆1回中1勝と安定感を示した。
ただし3月後半〜4月初旬にハムストリング軽傷で離脱、代表4月遠征(イングランド/スコットランド)を辞退した。W杯本大会まで残りわずか6週間、コンディションと試合勘の取り戻しが急務となっている。
| シーズン | 所属 | 公式戦出場 |
|---|---|---|
| 22/23 | アーセナル | 約25 |
| 23/24 | アーセナル | 約29(後半に膝離脱) |
| 24/25 | アーセナル | 1(2月19日に右膝再手術) |
| 25/26 | アヤックス | 途中出場中心 |
sports_soccer 代表での活躍 ― ドイツ・スペイン撃破の立役者から1年9ヶ月のブランク
冨安の代表デビューは2018年10月パナマ戦。A代表は通算42試合1得点を記録している。
2022カタールW杯では大会前にハムストリングを負傷したコンディションで参戦したが、ドイツ戦では後半から3バック左に投入→左WB三笆薄との連携で同点ゴールを演出し逆転勝利の立役者となった。スペイン戦では右WBで途中投入されA.ファティ/ジョルディ・アルバを完封した。
2024年1月のアジアカップ以降、ふくらはぎ・膝で約1年9ヶ月にわたり代表離脱。2026年3月のイングランド遠征メンバーで復帰選出されたものの、クラブでの軽傷でキリンチャレンジ不参加。森保監督は「W杯本大会で戦うことは当然あっていい」とポテンシャルへの信頼を表明している。
star 冨安健洋を一言で表すと ― 「マルチロール対応力」と「対人守備の質」の同居
冨安を理解するうえで欠かせないキーワードが2つある。
| キーワード | プレー上の現れ方 |
|---|---|
| マルチロール対応力 | CB/右SB/左SB/3バック左/守備的MFと4つ以上のポジションを高水準でこなす/188cmの長身とサイドの広いスペース管理を両立/試合中に役割を切り替えるアダプタビリティ |
| 対人守備の質 | 体を当てる距離感とファウルを取られない間合い管理/1対1で抜かれない「最後のもう一歩」/空中戦の安定感と足元テクニック |
両立の意義は明確だ——1人でチームの「保険」になる存在であり、守備オプションの幅を広げる。森保ジャパンで年長者の冨安が誠に豊かなオプションを与える点は、他のDFにはない価値だ。
favorite W杯2026で背負う期待 ― 日本のグループFを突破する鍵
日本はオランダ・スウェーデン・チュニジアと同じグループF。冨安には試合状況に応じてCB・右SB・3バック左のどこでも起用できる保険としての価値が期待される。
| 対戦相手 | FW・攻撃陣の特徴 | 冨安に期待される役割 |
|---|---|---|
| オランダ | デパイやハフェッツ系のFW、ガクポ、グラーフェンベルフら個の資質 | 右SBで対面をマンマーク、あるいは3バック右で板倉とのCBペア |
| スウェーデン | イサクとギョケレスの強烈二トップ、パワーとスピードを併せ持つ | 188cmの空中戦と対人、セットプレー守備の軽 |
| チュニジア | アフリカ予選首位コーチ、セットプレー脱威力 | 188cmの空中戦でセットプレー守備の中核、あるいは5バック化時の左ストッパー |
live_tv SNS・メディア発信
冨安の発信スタイルは寡黙でクール。Instagramの@tomiyasu.t open_in_newはフォロワー約93万人、投稿数はわずか119件(2026年時点)と「不必要に語らない」スタンスを象徴している。
メディア対応の特色はゴール・チャンス時もクールな受け答え。ただし負傷からの復帰時には「急がば回れ やることやる」など決意系の短いコメントを残す傾向もあり、静かに燃えるタイプとされる。
info 乗り越えるべき課題は「慊性的な負傷問題とコンディション」
慊性的な負傷問題とコンディション——冨安の最大の課題はここに集約される。アーセナルで4年間で肩・膝・ふくらはぎ・ハムと累計850日以上の離脱、100試合超を欠場した。負傷はシーズン後半に集中する傾向もあり、プレースタイルと过去のフル稼働後遺症が要因と分析されている。
27歳という年齢を考えれば残り稼働年数は限られ、W杯本大会まで残りわずか6週間の中で、90分連続稼働の信頼性をどこまで戻せるかが最大課題だ。アヤックスとの契約は2026年6月までの短期で、W杯後の去就も未確定のまま本大会を迎えることになる。