【2030への視点】4年後、この26人は何歳か|「30歳以下」で残る10人と、ニッポンが探す“次の9番”
2026年W杯で敗れた日本代表26人を“2030年に迎える年齢”で並べ替えると、30歳以下で残るのはわずか10人。FWと左サイドバックが手薄になる構造を可視化し、いま欧州で育つ次世代の若き日本人を展望する。
2026年の夏は、悔しさとともに終わった。だが、サッカーの時計は止まらない。世界が次に集うのは2030年——舞台はスペイン・ポルトガル・モロッコへと移る。本稿は、あの敗戦を振り返るための記事ではない。視線を4年先へ向け、「いまの26人は2030年に何歳になっているのか」という、たった一つの問いから日本代表の未来を考えてみたい。年齢で全てが決まるわけではない。それでも、世代交代を測る最初のものさしとして、これほど雄弁な数字もない。
calendar_month まず、26人を「2030年の年齢」で並べる
本稿では選手の年齢を「2030年に迎える満年齢(=2030−生まれ年)」で統一する。6月開幕という大会の性質上、誕生日の前後で1歳ほど前後する選手もいるが、世代の輪郭をつかむにはこの区切りが分かりやすい。
そのうえで26人を「30歳以下」と「31歳以上」に二分してみる。筆者の私見だが、攻撃の選手——とりわけFWと中盤——は、4年後の主役を20代に求めたい。走力も回復力も伸びしろも、ピークを2030年に重ねられるのは、やはり20代だからだ。
30歳以下で残る10人
- GK:鈴木彩艶(28)
- DF:菅原由勢(30)/瀬古歩夢(30)/鈴木淳之介(27)
- MF:中村敬斗(30)/佐野海舟(30)/久保建英(29)/鈴木唯人(29)
- FW:塩貝健人(25)/後藤啓介(25)
31歳以上になる16人
- GK:大迫敬介(31)/早川友基(31)
- DF:板倉滉(33)/冨安健洋(32)/伊藤洋輝(31)/渡辺剛(33)/谷口彰悟(39)/長友佑都(44)
- MF:堂安律(32)/田中碧(32)/鎌田大地(34)/遠藤航(37)/伊東純也(37)
- FW:上田綺世(32)/前田大然(33)/小川航基(33)
arrow_upward 「30歳以下」は、26人中わずか10人
数えてみると、30歳以下に残るのはたった10人。内訳はGK1・DF3・MF4・FW2だ。裏を返せば、2026年の主力の多く——板倉滉、冨安健洋、上田綺世、遠藤航、田中碧、鎌田大地ら——が31歳以上の組に入る。彼ら全員が4年後もそのまま主力でいると考えるのは、さすがに現実的ではない。

local_fire_department 薄くなるのはどこか——“9番”と左サイドバック
10人をポジション別に見ると、事情がまるで違うことが分かる。
- CF(センターフォワード)が最大の不安。2026年に得点源だった上田綺世(32)、前田大然(33)、小川航基(33)はそろって31歳以上。20代で残る純粋なFWは塩貝健人と後藤啓介の2人(ともに25)だけだ。点取り屋の系譜が、いったん細くなる。
- 中盤の底(ボランチ)も薄い。遠藤航(37)、田中碧(32)、鎌田大地(34)が抜けると、20代の本職ボランチは佐野海舟(30)ただ一人になる。
- 左サイドバックも空く。伊藤洋輝(31)と長友佑都(44)が外れれば、左を任せられる若い専門家が手元に見当たらない。
- 逆に、CBとGKは比較的安泰。若いCBの瀬古歩夢(30)・鈴木淳之介(27)が残り、GKは鈴木彩艶が28歳というまさに脂の乗る年齢で2030年を迎える。

つまり2030年に向けて本当に埋めたい穴は、ざっくり言えば「点を取れる9番」と「左サイドバック」、そして「ボランチの2枚目以降」。では、そこに若くて、いま海外でプレーする日本人はどれだけいるのか。これが次の問いだ。
star 若き“海外組”は、思ったより育っている
結論から言えば、希望はある。ポジションによって厚みはまるで違うが、2025/26シーズン時点で欧州にいる20代前半〜半ばの日本人は、想像以上に層が厚い。(※所属はすべて2025/26シーズン時点)
ボランチ — 充実
遠藤・田中碧の後継は、すでに渋滞気味だ。
- 藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ=ブンデスリーガ)
- 田中聡(シャルケ=ドイツ)
- 山本理仁(シント=トロイデン→フライブルク=ドイツ)
いずれも2030年に20代後半。ここに佐野海舟が加われば、4年後の中盤の底はむしろ激戦区になる。
センターバック — 厚い
- 高井幸大(トッテナム→ボルシアMGにレンタル=ドイツ)。192cm、パリ世代最有力のCB。
- 市原吏音(AZアルクマール=オランダ)。
- チェイス・アンリ(ザルツブルク=オーストリア)。191cmの日米ハーフ。
GK — 安泰
鈴木彩艶を筆頭に、野澤大志ブランドン(アントワープ=ベルギー)、小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン=ベルギー)と、欧州で実戦を積む大型GKが続く。

攻撃的MF・ウイング — 候補多数
久保建英(レアル・ソシエダ=スペイン)が中心。そこへ北野颯太(ザルツブルク=オーストリア/2004年生)、佐野航大(NEC=オランダ)、福井太智(アロウカ=ポルトガル)、鈴木唯人(フライブルク=ドイツ)らが並ぶ。

そして、最も手薄だった2つ——。
左サイドバック — 細いが、本命はいる
- 小杉啓太(ユールゴーデン→アイントラハト・フランクフルト=ドイツ)。移籍金650万ユーロでブンデスへ渡った、現状ほぼ唯一の若き左SB本命。ここが2030年の生命線になる。
“9番” — 数は出てきた。あとは「本物」になれるか
2026年メンバーの塩貝健人(ヴォルフスブルク)と後藤啓介(フライブルク)に続き、欧州には新しい9番タイプが現れ始めている。
- 福田師王(カールスルーエ=ドイツ2部/2004年生)。高卒でブンデス名門ユースへ直行した両足ストライカー。
- 新川志音(シント=トロイデン=ベルギー/2007年生)。「夢はバロンドール」と公言するエース候補。
- 小野田亮汰・高岡伶颯(ともに2007年生)。ドイツ・フランスの下部リーグで武者修行中の“青田買い”案件だ。
ただし正直に言えば、この“次の9番”たちの多くは、まだ2部やセカンドチーム、レンタル先での挑戦段階だ。トップリーグで点を取り続ける「本物」になれるかどうかは、これからの4年にかかっている。
sports_soccer 2030年へ、サポーターが見るべきもの
こうして並べてみると、日本の世代交代は決して「絶望」ではない。CB・ボランチ・GKは、むしろ欧州で育つ若手が渋滞しているほどだ。一方で、はっきり見えた宿題が2つある。点を取れるストライカーと、左サイドバックだ。
だから2030年に向けて追うべき物語は、シンプルになる。
- 久保建英・佐野海舟・鈴木彩艶——“ちょうどいい年齢”で大会を迎える橋渡し世代が、ピークの力を出せるか。
- 小杉啓太が、左サイドバックの不安を一人で消せるか。
- そして新川志音や福田師王ら“次の9番”候補の誰かが、2部やレンタル先から駆け上がり、本物のゴールゲッターに化けるか。
2028年のロサンゼルス五輪は、その答え合わせの絶好の舞台になる。悔しさに沈んだ夏のあとには、もう次の4年が始まっている。注目すべき若者の名前は、すでに出そろいつつある。彼らの所属クラブのスコアに、いまから目を凝らしておきたい。
26人の横顔はarticle 日本代表メンバー一覧、対戦国の情報はarticle 日本代表チームページから振り返れる。