【選手の素顔 #4】鈴木彩艶|ニューアーク生まれ・浦和育ちの190cm守護神——セリエA初の日本人GKが歩んだ軌跡
日本代表GK鈴木彩艶(ザイオン)の素顔に迫るコラム。ニューアーク生まれ・浦和育ちというルーツから、浦和レッズ・ジュニア1期生→STVV→パルマ移籍、そしてセリエA初の日本人GKとして歩む軌跡を徹底紹介。
サッカーの試合を観ていると、ゴールを決めた選手や華麗なアシストを放った選手にばかり目が行きがちです。でも、そのチームが勝つためには、最後尾でゴールを守り抜く「守護神」の存在が不可欠です。
「選手の素顔」シリーズ第4回は、アメリカ・ニュージャージー州に生まれ、埼玉県さいたま市浦和で育ち、浦和レッズからベルギー・STVVを経て、セリエA史上初の日本人ゴールキーパー となった 鈴木彩艶(すずき・ザイオン) 選手を取り上げます。190cmの恵まれた体躯と、最後まで諦めないプレースタイルで、日本代表の新・守護神の座を掴んだ23歳の素顔に迫ります。
star 基本プロフィール

_鈴木彩艶選手(CC BY 4.0 / RuinDig・Yuki Uchida / Wikimedia Commons)_
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 鈴木 彩艶(すずき ザイオン/Zion Suzuki) |
| 生年月日 | 2002年8月21日(23歳) |
| 出生地 | アメリカ・ニュージャージー州ニューアーク |
| 育った街 | 埼玉県さいたま市浦和 |
| 身長 / 体重 | 190cm / 86kg |
| ポジション | GK(ゴールキーパー) |
| 利き足 | 右足 |
| 所属クラブ | パルマ・カルチョ1913(イタリア・セリエA) |
| 契約期間 | 2029年6月30日まで |
| 家族 | ガーナ人の父、日本人の母、兄が1人 |
| 名前の由来 | 聖書に登場する聖なる丘「シオン(Zion)」から。漢字には「彩り」と「艶やかさ」の意 |
arrow_forward ルーツを知る ― ニューアークから浦和へ
鈴木彩艶の人生は、アメリカ・ニュージャージー州の最大都市 ニューアーク で始まりました。ニューヨーク・マンハッタンからハドソン川をはさんで西に約30分、国際空港でも知られるこの多文化都市で、ガーナ人の父と日本人の母のもと、2002年8月にひとりの男の子が誕生します。両親は、聖書に登場するエルサレムの聖なる丘 「シオン(Zion)」 からその名を贈りました。
ニューアーク(ニュージャージー州)の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | アメリカ合衆国・ニュージャージー州北東部 |
| 人口 | 約30万人(州内最大都市) |
| 特徴 | ニューヨーク都市圏に属する多民族都市。アフリカ系・ヒスパニック系住民の比率が高い |
| 玄関口 | ニューアーク・リバティー国際空港(アメリカ東海岸の主要ハブ空港) |
埼玉・浦和への移住とサッカーとの出会い
鈴木家は彩艶が幼いころに日本へ帰国し、埼玉県さいたま市の浦和エリア に居を構えます。「Jリーグ随一のサッカー熱を誇る街」と言われる浦和で育つという、これ以上ない巡り合わせ。少年は当然のようにサッカーボールを追いかけ、地元で頭角を現していきます。
浦和という街
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 埼玉県さいたま市(旧・浦和市、2001年に大宮市・与野市と合併) |
| 東京からの距離 | 約25km(JR京浜東北線で上野まで約25分) |
| サッカーの街 | 「日本一のサッカー都市」と呼ばれ、浦和レッズ・浦和レディースの本拠地。少年サッカーの裾野も非常に広い |
| ホームスタジアム | 埼玉スタジアム2002(サッカー専用、収容63,700人) |
赤いユニフォームが街中にあふれる浦和で育つことは、サッカー少年にとって特別な意味を持ちます。バス通学の車窓から埼玉スタジアムが見え、学校帰りの友達との話題は必ず前節のレッズの試合。そんな環境で彩艶少年のサッカーへの情熱は育まれていきました。
calendar_month 年代別キャリア年表
| 年 | 年齢 | 出来事 |
|---|---|---|
| 2002 | 0歳 | アメリカ・ニュージャージー州ニューアークで誕生 |
| 2000年代後半 | 幼少期 | 家族で日本へ帰国、埼玉県さいたま市浦和に移住 |
| 2013 | 11歳 | 創設されたばかりの浦和レッズ・ジュニア(U-12)1期生として加入 |
| 2015-17 | 13-15歳 | 浦和レッズ・ジュニアユースでGKとして経験を積む |
| 2018-19 | 16-17歳 | 浦和レッズ・ユースで主力GKに。各年代別代表にも選出 |
| 2020 | 17歳 | 浦和レッズ・トップチームに2種登録。浦和レッズ・ジュニアアカデミー出身者として初のトップチーム公式戦出場 |
| 2021 | 19歳 | 東京五輪(U-24代表)のバックアップGKとして選出 |
| 2022 | 20歳 | A代表デビュー、浦和で正GKに定着 |
| 2023.夏 | 21歳 | ベルギー1部 シント=トロイデン(STVV) へ完全移籍 |
| 2024.1 | 21歳 | AFCアジアカップ(カタール)で日本代表の正GKに |
| 2024.7 | 21歳 | パルマ・カルチョ1913へ移籍(移籍金最大17億円・5年契約)。セリエA史上初の日本人GK、中田英寿以来2人目の日本人パルマ戦士に |
| 2024-25 | 22歳 | 昇格初年度のパルマで守護神として奮闘 |
| 2025-26 | 23歳 | パルマの正GKとして定着。日本代表でもW杯アジア最終予選を正GKで牽引 |
| 2026.3 | 23歳 | ウェンブリーでのイングランド戦で複数のビッグセーブ。アジア勢初のウェンブリー勝利(1-0)に貢献 |
sports_soccer サッカー遍歴 ― ゴールマウスへの長い旅路
浦和レッズ・ジュニア/ジュニアユース/ユース(2013-2020)
鈴木彩艶のサッカー人生は、2013年に創設された浦和レッズ・ジュニア(U-12)の「1期生」 として始まりました。当時すでに同世代では頭ひとつ抜ける体格を持ち、最初はフィールドプレーヤーとしてプレー。GKへ本格的にコンバートされたのはジュニアユース(U-15)に入ってからのことでした。
長身・リーチ・バネという素材の良さに加え、アカデミー時代から徹底的に鍛えられた足元の技術とパスセンス が、のちの「現代型GK」としての鈴木の土台となります。ユース時代にはプレミアリーグ(ユース年代の全国リーグ)でも主力GKとして活躍し、各年代別の日本代表でも正GKを掴みました。
浦和レッズ・トップチーム(2020-2023)
17歳でプロ契約を結び、浦和レッズ・ジュニアアカデミー出身者として初めてトップチームの公式戦出場を果たした選手 となりました。日本代表歴のある大先輩・西川周作の背中を追いかける日々。若くして出場機会を掴み、2022年以降は正GKとして定着。ACL(AFCチャンピオンズリーグ)の舞台でも存在感を示しました。
シント=トロイデン(STVV・2023-2024)
2023年夏、満を持して欧州挑戦を決断した鈴木が選んだのは ベルギー・ジュピラー・プロ・リーグのSTVV。日本人選手が多く所属することで知られる「欧州挑戦の登竜門」的なクラブで、ハイクロスへの対応やフィジカルコンタクトの激しさといった欧州独特のプレッシャーを肌で学びます。1シーズンで公式戦30試合以上に出場し、欧州のトップリーグで十分通用する ことを証明してみせました。
パルマ・カルチョ1913(2024-現在)
2024年7月15日、セリエAに昇格したばかりの名門 パルマ への電撃移籍が発表されます。移籍金は最大で 約17億円、契約は2029年までの5年契約。これは セリエA史上初の日本人GK、そして 中田英寿(2001年加入)以来2人目の日本人パルマ戦士 という歴史的な一歩でした。
パルマのスポーツディレクターは移籍発表時に「これまで積んできた経験を考慮すれば、我々の喜びは倍増する」とコメント。加入後は早々に正GKの座を掴み、度重なるビッグセーブと 足下を使った丁寧なビルドアップ でチームを支えました。イタリア現地メディアは彼を 「間違いなくダイヤモンド。ミスや批判にも折れずに成長し続けた男」 と絶賛。2024年10月時点ではアジア人GKの市場価値ランキングで欧州メディア評価 トップ(€7M=約11億円) を記録しました。
サムライブルーの守護神仲間
西川周作(浦和レッズ)
浦和時代の大先輩であり、恩師と呼べる存在。若き鈴木に「プロのGKとは何か」を教えてくれた最初の師匠です。
町田浩樹(ウニオン・サン=ジロワーズ)・瀬古歩夢(ル・アーヴル)
欧州で戦う同世代のDF陣。代表合宿では後ろの連携について夜遅くまで語り合うこともあると言われています。
local_fire_department 日本代表での歩み
| 年 | 大会 / 試合 | 成績 |
|---|---|---|
| 2021 | 東京五輪(U-24代表) | バックアップGKとしてベスト4に貢献 |
| 2022 | A代表デビュー | 国際親善試合で初キャップ |
| 2023 | 親善試合・W杯アジア予選 | 西川周作・シュミット・ダニエルらと正GK争い |
| 2024.1 | AFCアジアカップ(カタール) | 正GKとして全試合出場 |
| 2024-25 | W杯アジア最終予選 | 日本代表の正GKとして定着 |
| 2026.3 | スコットランド戦 | 複数のセーブで1-0完封勝利に貢献 |
| 2026.3 | イングランド戦(ウェンブリー) | マグワイアのヘディング、ルイス・ホールの強シュートを立て続けに阻止。アジア勢初のウェンブリー勝利(1-0)に大貢献 |
2026年3月31日、ウェンブリー・スタジアムで行われたイングランドとの国際親善試合。アジア勢初となるウェンブリーでの勝利を飾ったこの歴史的な一戦で、鈴木彩艶は マグワイアのヘディング、ルイス・ホールの強烈なシュート を次々に好セーブで阻止。三笠薫の決勝弾に注目が集まる一方で、現地英国メディアからは 「今日のMan of the MatchはGK鈴木で異論なし」 との声が続々と上がりました。
詳細なレポートは article 【試合レポート】イングランド 0-1 日本 でも特集しています。
favorite SNS・メディア発信
Instagram(公式)
フォロワーは数十万人規模。試合後のピッチ風景、パルマのある北イタリアの街並み、代表合宿での笑顔の集合写真を気取らず投稿するスタイル。飾らないキャラクターが、多くのサポーターから愛される所以です。
海外メディアの評価
Goal.com open_in_newの現地記者は鈴木について 「間違いなくダイヤモンド」「欧州中の注目を集めている」 と絶賛。Sky Sportsも「プレミアリーグ移籍は時間の問題」と報じており、セリエAでの活躍が続けば、次のステップは プレミアリーグ、もしくはCL出場クラブへの移籍 も現実味を帯びてきます。
ブランド契約
adidas(アディダス)と個人契約を結んでおり、GK専用スパイク/グローブのビジュアルにも起用。日本国内でもCM起用のオファーが増えている状況です。
info 編集後記
鈴木彩艶の物語は、国境も言語も越えて紡がれた壮大な物語です。アメリカ・ニューアークで生まれ、浦和で育ち、ベルギー・リンブルフ州を経由してイタリア・パルマのゴールマウスへ。3つの国と4つの言語 に触れながら成長してきた23歳は、その経験のすべてをピッチの上で表現しています。
190cmの長身、しなやかなバネ、そして何よりも 「最後まで諦めない」 というプレースタイル。彼が守護神として立つ限り、日本代表のゴールマウスには 絶対的な安心感 が宿ります。2022年カタールW杯でドイツ・スペインを撃破した守備陣の最後尾で輝いた権田修一、そして少年期に追いかけた西川周作——先人たちから受け取ったバトンを、鈴木は2026年の舞台で間違いなく高く掲げてくれるでしょう。
W杯2026、グループFでオランダ・スウェーデンという欧州の強豪と渡り合う日本代表。ベスト16、そしてさらにその先を見つめるためには、この ニューアーク生まれ・浦和育ちの守護神 の存在が不可欠です。日本代表メンバー発表の動向は article W杯2026 メンバー発表記事 でも追いかけていますので、ぜひご覧ください。
「Zion Suzuki」——その名が、世界のサッカー史に深く刻まれる瞬間は、もうすぐそこまで来ています。
_本記事は「選手の素顔」シリーズの第4回です。過去の記事は_ article _#1 中村敬斗__、_article _#2 ファン・ダイク__、_article _#3 久保建英_ _からどうぞ。W杯2026の日程は_ article _大会カレンダー_ _でチェックできます。_