【選手の素顔 #26】小川航基|ナイメヘンの空中戦の達人、最終予選得点王が押し上げる1トップ争い
NECナイメヘンで空中戦の質を示す小川航基(28歳・神奈川県横浜市都筑区出身)の素顔を深掘り。W杯2026アジア最終予選では6戦4ゴールとファイナルラウンド得点ランクトップ、中国戦ではヘッドで予選突破を2得点で決定付けた186cmのストライカー。
小川航基(おがわ こうき)、28歳。NECナイメヘンで25/26シーズンはリーグ23試合8得点、W杯2026アジア最終予選では6戦4ゴールでファイナルラウンド得点ランクトップ。11月19日の中国戦ではヘッドで2得点を決め日本の予選突破を確定させた。本紙予想26名で「ポスト型2番手」と位置づけられた186cmのストライカーが、W杯2026本大会を約2か月後に控えた今、背負う期待と乗り越えるべき課題を整理する。
menu_book 基本プロフィール

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1997年8月8日(28歳) |
| 出身地 | 神奈川県横浜市都筑区 |
| 身長/体重 | 186cm/80kg |
| ポジション | FW(センターフォワード/ポストプレー型) |
| 利き足 | 右足 |
| 所属クラブ | NECナイメヘン(エールディヴィジ/蘭) |
| 背番号 | クラブ:18/代表:19 |
| 日本代表の経験 | A代表2019年初選出、通算13試合10得点。W杯2026アジア最終予選でファイナルラウンド得点ランクトップ |
arrow_forward 故郷を知る
神奈川県横浜市都筑区は1994年に港北区から分離して誕生した比較的新しい区で、港北ニュータウンを中心に再開発が進んだ住宅地エリアだ。緑道が縦横に走り、子育て世代の流入が多く、年少人口比率が市内トップクラスというサッカーの裾野が厚い土地柄だ。東急レイエスFC、横浜FCジュニアユースなど名門クラブの練習場が点在している。
小川は中学進学時に東急レイエス・横浜FCジュニアユースのセレクションに落ちた経緯を持ち、地元の大豆戸FC(横浜市港北区)ジュニアユースで再起を期した。横浜という日本サッカー黎明期からのフットボール文化と、ニュータウンの整備された競技環境が同居する土地柄が、「一度挫けてから頭角を現す」というこの長身ストライカーの動を育んだ。W杯本大会の活躍は、都筑という区の誇りとなる。
calendar_month 年代別キャリア年表
| 年齢 | 時期 | 所属/主な出来事 |
|---|---|---|
| 〜12歳 | 〜2009 | 横浜市都筑区で少年期を過ごす |
| 13〜15歳 | 2010–2012 | 大豆戸FCジュニアユース(セレクション不合格からの再起) |
| 16〜18歳 | 2013–2015 | 桐光学園高校(神奈川)。1年で選手権出場、高3で主将と選手権得点ランキング2位タイ |
| 19〜24歳 | 2016–2021 | ジュビロ磐田。高卒入団。2017年5月に左膝前十字鞈帯断裂・半月板損傷で長期離脱。J1通算79試合11得点 |
| 22歳 | 2019年7月12月 | 水戸ホーリーホック(育成型期限付き)。J2で復活の手応え |
| 25〜26歳 | 2022–2023 | 横浜FC。2022年にJ241試合26得点クラブ記録、MVP・得点王・ベストイレブン3冠 |
| 26歳 | 2023年7月〜2024年6月 | NECナイメヘン(期限付き)。31試合11得点 |
| 26歳〜 | 2024年7月〜現在 | NECナイメヘン(完全移籍、2027年6月まで契約) |
local_fire_department 25/26シーズン、エールディヴィジで量産を加速
2024年夏にNECと完全移籍可となった小川は、25/26シーズンもチームの筆頭ストライカーとして主軽を担う。リーグ23試合12月10分で8得点、総シュート38本中枠内は18本と中枠率約47%の高水準。、90分あたり0.59得点という評価も、クラス供給量に不安のあるNECにあっては高い数値だ。
10月26日に今季4点目を記録して以降、コンスタントに得点を溜めており、エールディヴィジで日本人FWの完全移籍即戦力化に成功した数少ないケースとなっている。
| シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 |
|---|---|---|---|---|
| 2022 | 横浜FC | J2 | 41 | 26(得点王) |
| 2023 | 横浜FC→NEC | J1+エール | 56→31 | 11+11 |
| 24/25 | NEC | エール | 24 | 7 |
| 25/26 | NEC | エール | 23 | 8(進行中) |
sports_soccer 代表での活躍 ― 最終予選得点ランクトップ、中国戦2得点で予選突破を確定
小川の代表初選出は2019年。2024年10月のサウジアラビア戦・オーストラリア戦2試合連発で一躍位置を2番手に引き上げ、W杯2026アジア最終予選では6戦4ゴールとファイナルラウンド得点ランクトップに躸り出た。
ハイライトは2024年11月19日の中国戦だ。前半39分にセットプレーからヘッドで先制点、後半9分にもクロスをヘッドで合わせて追加点と1試合2ゴール。日本は3-1で勝利し、5勝1分無敗で8大会連続のW杯出場を最早で確定させた。海外メディアからは「上田綣世からスタメンを奊う活躍」と報じられたが、本人は「自分が一番、という気持ちで」とコメントした。
森保ジャパンでの位置づけは「ポスト型2番手FW、上田綣世の最有力バックアップ」だが、ヘディングと空中戦の質では代表内で頭ひとつ抜けた存在と評される。
star 小川航基を一言で表すと ― 「ポストプレーの匠」と「ヘディングの精度」の同居
小川を理解するうえで欠かせないキーワードが2つある。
| キーワード | プレー上の現れ方 |
|---|---|
| ポストプレーの匠 | 186cm/80kgのフィジカルで背中を向けたままボールを収める安定感/体の入れ方とファーストタッチで起点化、味方の上がりを待てる時間を作る/ペナルティエリア内の密集でもファウルを誘いつつ落とせる柔らかさ |
| ヘディングの精度 | 高さよりもタイミングと首振りで叩きつける枠内率/セットプレーのターゲット役(中国戦のような直接得点)/クロス対応でファー詰め/ニア潰しを使い分ける賢さ(ダイビングヘッドも武器) |
両立の意義は明確だ——下を向いたあと上を向いてもゴールを奊える。上田綣世とは異なるタイプとして、森保ジャパンのストライカー選択肢を一個拡張している。
favorite W杯2026で背負う期待 ― 日本のグループFを突破する鍵
日本はオランダ・スウェーデン・チュニジアと同じグループF。小川には上田綣世の不調時の交代やセットプレージョーカーとして期待される。
| 対戦相手 | DF陣の特徴 | 小川に期待される役割 |
|---|---|---|
| オランダ | エールディヴィジ勢と日常的に対峙、ハイラインで裏を許す傾向 | NECで培ったスペースの嗅覚で裏抜け、コーナーキックやFKのターゲット役 |
| スウェーデン | イサク・ギョケレスとの長身DFとのフィジカル勝負 | 代表で上田と並ぶ空中戦で五分以上に持ち込める貴重な軽、ロングボール起点として有用 |
| チュニジア | CB陣のスピードはあるが高さは平均的 | クロス・セットプレーから直接フィニッシュできる小川型CFが効きやすい、決勝T進出を懸ける一戦のジョーカー候補 |
live_tv SNS・メディア発信
小川の発信スタイルはストイックで控えめ。Instagramの@koki4629 open_in_newはフォロワー約6.8万人、試合写真とチームメイトとのオフショット中心。X(旧Twitter)の@k46293219 open_in_newも継続している。
メディア対応の特色は「自分が一番」と語気を強める発言と、敬語を崩さないストイックな受け答えのコントラスト。横浜FC時代のイメチェンが「カッコよすぎ」とJリーグ媒体で話題化したこともある。
info 乗り越えるべき課題は「上田綣世との序列と不関リスク」
上田綣世との序列と不関リスク——小川の最大の課題はこれに集約される。上田よりヘディング・空中戦で上とても、森保監督の基本布陣は上田をその軽として見ており、スタメンを3試合とも奊う現実性は低い。「上田不調時の交代」「セットプレージョーカー」という限定的な起用を、いかに短時間でゴールに結びつけるかが重要だ。
加えて2017年の磐田時代に左膝前十字鞈帯断裂・半月板損傷で長期離脱した経験もあり、コンディション管理は千本ノックだ。キリンチャレンジカップ・アイスランド戦5月31日、そして現地合宿でいかにコンディションを仕上げ、最後の招集を手繰り寄せるかが、彼に課された最後のミッションとなる。